厚生労働省が培養肉についてコメントを発表した。
規制の是非を検討する為、専門家の研究班を年度内に設置する。培養工程などに健康に影響を与えるリスクがないか洗い出すことで、将来の産業化に備えたい。
ヤフーニュースのコメント欄には「ハム1枚15万円」という今のコストに関するコメント、安全性に関するコメントが多い。
軽く調べた感じ、培養肉の分野において日本は出遅れてはいないようだ。技術的なことは私はわからないが、トップではないにせよトップ集団にいると考えて良いのかもしれない。競合他社は世界中に170社程度あり、どこもコスト削減で苦労しているようだ。
ちなみに世界トップはおそらくアメリカのイート・ジャスト社。代替卵のジャスト・エッグに続き、培養鶏肉をグッド・ミートというブランドで立ち上げ、シンガポール政府から販売承認を取得し、シンガポールに工場を持ち、実は既にシンガポールのレストランで培養鶏肉を食べることができる。培養鶏肉のナゲットが3つ乗ったチャーハンが2000円程度。2020年12月の記事で「同社は4年前から培養肉の研究開発に取り組んできた。生産規模の拡大と生産スピード向上に注力し、生産コストを1/40にまで削減した。」とあったし、想像を上回るペースでコストダウンを実現したようだ。
培養肉は日本が一発逆転できる数少ない分野だと私は考える。基礎研究が得意な日本人と基礎研究がほぼ全ての培養肉。相性はいいはずだ。
「研究班を年度内に設置する」とか悠長なこと言ってないで、研究開発費を注ぎ込んで研究を加速させ、世界シェアを独占する意気込みで動く価値がある、と私には思える。日本の研究開発費の規模はアメリカや中国と比べ桁違いに少ないのが事実だ。給与も安すぎるので優秀な研究者は海外に引き抜かれている。競争に勝つには選択と集中が必要で、どこに投資を集中させるか?の答えの一つが培養肉だと私は思う。
というか、今回の厚労省の発表は健康リスクを洗い出すのが目的らしいので、そもそも培養肉を国策として推し進めるかどうかの議論から始めないといけないのかもしれない。だとしたら遅すぎるかもしれない。
日本がやるべきは経済を発展させることで、縮小する一方の国内シェアを日本人同士で奪い合うのではなく、新しい業界を作り出して日本企業が世界で利益を上げることだ。
それが可能な分野は多くない。
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