2022年4月、北海道・知床半島の沖合で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が消息を絶った事故。4月28日の時点で11人の死亡が確認されており、15人が未だ行方不明。死亡には3歳の女の子が含まれ、恋人に船上プロポーズする予定だったという22歳男性は行方不明のまま。
・悪天候のなか出航の判断をした(地元漁師はやめていたらしい)
・前年に2度の事故を起こしていた(座礁と接触事故)
・船体に傷があったのを放置していた(事故との関連は不明)
・運行会社との連絡手段がなかった(会社の無線アンテナが破損、携帯電話は電波が通りづらい地域、衛星電話は故障で修理中)
・船長は経験が浅かった?(さらに「ブラック企業で右往左往です」と前月FBに投稿している)
など。事実関係は今後変わっていく可能性もあるが、安全管理に問題があったことは間違いないだろう。腹立たしい事件だ。
でもちょっと考えてみて欲しい。まだ事故になっていないだけで、「際どいものは日常生活の周りにゴロゴロしてる」というのが実態だと私は思っている。安全管理の甘さが原因の大事故として有名なのはJR福知山線脱線事故(2005年)、福島原発事故(2011年)、豊浜トンネル岩盤崩落事故(1996年)などが私は浮かぶ。みずほ銀行のシステム障害も死人は出ないが性質は同じだ。ちなみにトンネル事故みたいなインフラ絡みの事故は今後増える一方だろう(→インフラ・クライシスと言われているらしい)。
で、本題に入る。実は危険でいっぱいの社会において、我々はどのように危険を避けたらいいのだろうか?
まずは考え方を変えたほうがいい。
・他人の危機管理は甘いから信じるな。
・自分の身は自分で守れ。
この2点。
冒頭の観光船事故のケースだと、旅行先で観光予定の一部の危険を察知して避けるのは予知能力でもない限り無理だとは思う。
けど、あえていうと、「天気予報から危険を察知する」「他の会社が休み(シーズン前?)なことに違和感を覚える」「船の傷を見て大丈夫か?と思う」「運行会社について事前に調べておけば昨年の事故がわかったかもしれない」など、どこかで違和感を感じて「ちょっと待て大丈夫か?」と思う機会はゼロではなかったはずだ。
誤解を招きたくないので重ねて言うが、「そう思えなかったから事故に巻き込まれたのは仕方がない」とは言っていない。旅行中に事故を起こした観光船に乗る予定があったとして、巻き込まれない未来を歩むには、「どこかで違和感を感じ」「大丈夫か?と疑問を持ち」「乗車をキャンセルする」という行動まで起こさなければならなかった、と言っている。そしてそれは予知能力でもない限り不可能に近いだろうとも言っている。
私が言いたいのは、観光船事故に限らず、「どこかで違和感を感じ」「大丈夫か?と疑問を持つ」には、「他人の危機管理の甘さ」と「自分の身を自分で守る」を普段から意識することが前提になる、ということ。
もう少し具体的に考えていく。
・会社の安全管理は信じるな
先に書いたJR福知山線脱線事故(2005年)、福島原発事故(2011年)、豊浜トンネル岩盤崩落事故(1996年)、みずほ銀行のシステム障害。三菱の不正検査もそうだし、多くの企業で発生する個人情報流出もそうだし、なんなら会社の不祥事の大部分は「安全管理の甘さ」が関係していると言ってもいいかもしれない。今はまだ問題になっていないだけの会社なんてザラ、というか過半数はそうなんじゃないかと私は思ってる。
結論。「安全です!」なんて言葉を鵜呑みにしてはいけない。
・自動車に気をつけろ
2021年の時点で65歳以上の高齢者は全人口の29%。そこらへんを時速60kmとかで走っている鉄の塊の半分近くは高齢者が操作しているのですよ。高齢者は言うまでもないが反応速度が遅いし、自分勝手な判断をする割合が高い。アクセルとブレーキを踏み間違える事故なんて日常茶飯事だし、高速道路の逆走なんかも「ああ、またか。」としか思わない。私がまじでか?と思ったのはトラックが小学生の列につっこんだ2021年6月の事故。仕事中にコンビニで酒を買って車内で飲んだあとに事故を起こしている上、仕事中の飲酒について被告(60歳)は「週に2、3回」などと、日常的に飲酒運転を繰り返していたことを供述した。ってこれヤバすぎないです?絶望的なのは、こんなのが今後減るのでなく増えるだろうこと。
結論。自動車が自分につっこんでくる可能性を常に考えるべき。
ついでに言うと、日本での自動運転がどう扱われることになるのか私はわからないが、バグによる意図せぬ挙動やハッキングにより凶器化する自動車が社会問題になっていくと私は予想している。
・日本の治安は悪くなる一方だと理解しろ
貧しくなると治安は悪くなる。日本は1億総貧困の時代という事実を受け入れること。さらに外国人の増加(外国人技能実習生、移民、不法滞在など)が拍車をかける。わかりやすく言うと盗賊みたいなならず者が今後増えていくだろう。
若い女の子が薄着で夜中にひとりでコンビニに行っても安全な社会。電車で居眠りしても物がなくならない社会。たしかに素晴らしいが、努力なしで維持できるとは思わない方がいい。「日本の常識」は「世界の常識」ではないのだから。
・徒歩中に気をつけろ
「青信号でも周囲を見てから渡る」「狭い道では後ろに気をつける」「歩きスマホはしない」この3つくらいは日常的にしたほうがいい。要は「他人を信じるな」ってことで、高齢者の運転を信じるとか正気か?という話です。通り魔、ひったくり、誘拐などから身を守ることにも繋がるし、思わぬ危険も避けることができるかもしれない(→札幌という大都市の住宅街で通勤時間帯にクマに襲われるという事故が2021年に起きた)。
個人的にはイヤホンで音楽を聴きながら歩くのもやめたほうがいいと思ってます。音は重要な情報です。
・電車やバスで気をつけること
カルト教団がサリンをばら撒いたことがある(1995年)からガスマスクを常に携帯しろ、とは言わない。刃物を振り回す狂人に狙われるかもしれないから護身術を学んでおけ、とも言わない。ただ、乗る時にざっと周囲を見渡す、くらいはしたほうがいい。違和感があればなんとなく気にしておくなり(→動きがあったらすぐに離れられるようにする)、近づかないなり別の車両に移動するなり、もしもの時に遥かにマシな結果になるはずだ。
想像してみて欲しい。あなたが電車で無差別殺人を企てたとして、行動前に平常心でいられるだろうか?血走った目や不審な動き、ヤバそうな雰囲気が漂うのではないだろうか。
・自宅のセキュリティ
私は東南アジア在住だが、一軒家の自宅は窓に全て鉄格子(面格子?)を付けている。日本でセキュリティを考えている家庭は富裕層くらいだと思うが、自宅に侵入されるということのヤバさを一度真面目に考えてみることを薦める。
映画やドラマで見たことのある人が多いだろうが、窓からの侵入なんてびっくりするくらい簡単だし、ピッキングやサムターン回しなんかも可能なら対策しておいたほうがいい。ドアチェーンなんかも習慣にしたほうがいい。先にも言ったが日本の治安は今後どんどん、というかたぶん一気に悪くなる。不法滞在の外国人がヤクザの手下になる未来が現実的な線だと私は思っている。
最悪の想定はもちろん殺されること。「留守中に泥棒が金目のものを盗っていく」なんて金持ちの家でしか成立しないので、金目のものが存在しない一般家庭の場合、狙われると考えるべきはモノではなくあなた自身。強盗にナイフを突きつけられてその場でいろいろ要求されること。例えば、通帳と印鑑を奪われる、クレジットカードの暗証番号を言わされる、スマホで送金させられる、恥ずかしい写真を撮られて今後強請られる、など、いずれにしても愉快な未来は待っていない。もし私が犯人なら、その場で奪えるものを全て奪った上で、薬で眠らせて火をつけ火事にして証拠を消しますね。繰り返しになるけど、自宅に侵入されるということのヤバさを一度真面目に考えてみることを薦めます。
・録画録音デバイス
個人版のドライブレコーダーと考えればいい。
まだ普段使いできるようなものは普及していないと思うが、自衛手段として超優秀と私は思っている。チカンの冤罪みたいに社会的に致命傷になりえるリスクから、上司のパワハラや言った言わない問題など小さな事まで、幅広く対応できる。
以上、悪意のあるものから悪意のないものまでいろいろ挙げたが、対策のベースになるのは
・他人の危機管理は甘いから信じるな。
・自分の身は自分で守れ。
という考え方だ。無理なくできることは習慣にしておいたほうがいいと私は思う。
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