2021年1月に発売されたRATTA製の電子ペーパー「SUPERNOTE A5X」を購入したので使用感をまとめておきます。購入を検討する際の参考になれば嬉しい。
概要
- SUPERNOTEって何? → 電子ペーパー(Eink)で目に優しいAndroidタブレット
- 何に使うの? → 読書とメモ書き(手書きのノート)
- いくら? → A6X(7.8インチ)が369USD(→amazon)、A5X(10.3インチ)が予約購入特典で468USD
- 公式サイト → https://supernote.com/
- クラウドファンディングMAKUAKE → https://www.makuake.com/project/supernote_a5x/
結論
- 手書きノート目的ならアリ
- 電子書籍リーダーとしてはKINDLE使ってる人はアリ
- KINDLE使ってない人(自炊本含む)は使えないことはないけどBOOXのほうがいいかも?
- 電子ペーパーにこだわらないならiPadが無難で失敗しないと思う
電子ペーパー(E ink)の特徴&メリット&デメリット
- 目に優しい
- 省電力
- 白黒
- 読み込みに遅延がある
- リーダー(ビューアー)に注意が必要
- 対応ファイル形式にも注意が必要
「電子ペーパーは白黒しかない」というのはちょっと前までの話で、今は中国のHisenseというメーカーがカラー電子ペーパー搭載スマホを販売してます。また、中国TCLがCES2021でフルカラーながらバックライトを用いない液晶タブレット「Nxtpaper」を発表。2021年4月に発売予定とか。
リーダー(ビューアー)に関しては、いわゆる「Androidタブレットみたいな汎用機」ではなく「LINUXベースやAbdroidベースの専用機」の為、メーカーが用意したものを使わざるを得ないのが現状です。
SUPERNOTEの場合はノートを取る時と同じ感覚で「ただ表示する」のと、最初から用意されているKINDLEアプリを使うかの2択。今後のアプデに期待です。
BOOXは電子ペーパーを採用した汎用AndroidタブレットなのでGoogle Playストアが使える。Perfect Viewerなど外部アプリを自由にインストールして使える。素晴らしい。
購入の経緯
私は読書が好き。
7割がマンガだけど小説やビジネス書やプログラミング関連の本なんかも読む。海外移住したこともあって日本語の書籍が手に入りづらく、初代ipadの時代から読書はタブレットでするようになった。
1日中パソコン仕事+休憩の読書もタブレット。目を酷使する環境が続いており、電子ペーパー(Eink)には以前から興味を持っていた。
今はコロナ避難で帰国しているが普段はインドネシアの地方都市在住。
- しょっちゅうある停電の時は読書して過ごす(ひどいときは半日とか)
- 帰国時の暇つぶし(ドアツードアだと15~20時間くらいかかる)
と、普通の液晶タブレットではバッテリーが持たない。その点でも電子ペーパー(Eink)には魅力を感じていた。
そして、2020年6月にKindle Paperwhiteを買った。
…のだが、結論を書くとバッグの奥底からなかなか出すことがない。6インチ画面だと小さすぎてマンガは読めたものじゃなく、小説なども自宅なら10インチのKindle Fireのほうが快適に読めるから。
別の理由で2020年12月に8インチのタブレット(ファーウェイのM5 LITE 8のLTEモデル)を買ったのでこれでも読書してみたが、マンガ読むなら8インチがギリギリ許容範囲ということがわかった。絵の細かい部分や小さい文字など多少のストレスを感じるのは、おそらく私が10インチタブレットでの読書に慣れているからだと思う。人によっては8インチでストレスはないのだろう。
また、Kindle Paperwhiteで改めて実感したのはファイル変換の手間である。
自炊本(自分でスキャンした画像ファイル)はKindleで読めるファイル形式(mobiやAZW3)に変換する必要があり、専用のソフトなんかもある。購入前からわかってはいたものの「一度変換するだけじゃん?」と軽く考えていたのは甘かった。めんどくさいものはやはりめんどくさい。
で、いろいろ探していたらSUPERNOTEのA5Xが予約販売で値引きしていたのでポチってしまいました。
私の用途と求める機能
- 読書(自炊本のマンガ、ビジネス書、プラグラミング関係、小説)
- バッテリーが長時間持つこと
- 10インチ
- 手書きメモでノートの代わりになると嬉しい
ここで急に「メモとしても使いたい」と言い出しているが、これは以前からある種の憧れとして実現したいと思っていたことだったりします。買ったのはSUPERNOTEだが、メモ用途がなければ一番安いQUADERNOにしていたと思う。そして、今も若干感じているがBOOXにしておけばよかったと後悔したかもしれない。
候補(10インチのみ)
- SUPERNOTE A5(RATTA) 47000円(旧型)
- SUPERNOTE A5X(RATTA) 50000円(2021年1月発売の新型)
- QUADERNO(富士通) 32,940円(→amazon)
- BOOX NOTE AIR(Onyx) 59,800円(→amazon)
- BOOX NOTE3 64,800円(→amazon)
- Remarkable 2 70000円(正規販売がないため割高っぽい)
値段は執筆時のものだったりするので今はわかりません。最も安いのは富士通のQUADERNO。それの2倍高いBOOXはすぐに候補から外れSUPERNOTEとQUADERNOの2択になった。…でも為替手数料、輸入消費税、DHLの立替納税手数料、で結局SUPERNOTE A5Xは54000円くらいかかってしまったというね。。
SUPERNOTE A5Xも、おそらくじきにアマゾンで買えるようになると思います。
ざっくりと、SUPERNOTEはは手書きに特化、BOOXは電子ペーパー採用の汎用Androidタブレット、という感じだと思う。
ついでに8インチの電子ペーパー
他にもあると思いますがここでは値段の参考程度に。
ペンの仕様
調べるまでは気にもしていなかったペンの仕様だが、SUPERNOTEのペンは魅力的だった。
SUPERNOTEのペン
- 0.7mmの細いペン先
- 充電不要&バッテリー不要
- 摩耗しないためペン先の交換不要
- 自己回復フィルム
- 硬いペンで柔らかい紙に書いている感じを再現
- LAMY社のペンが選べるけどペン先は太いようです注意
QUADERNOのペン
- 摩耗する(1ヶ月ほどで交換が必要らしい)
- 充電式
手書きの使用感
遅延はもちろんあるんだけど、読書の時とは違ってあまり気にならない。
…と書いたが、読書時の遅延も2日目には気にならなくなってる自分がいた。
手や指には反応しないので、書くことだけに集中できる。
手書きについては個人差もあると思うが、私は紙のノートはもう要らないかも?と思える。当たり前なんだけどまごうことなき自分の字ができあがるのに最初ちょっと感動した。
iPadのアップルペンシルも良いと聞くが残念ながら私は触ったことがないので比較はできない。店頭で書き比べできる人はしてみたほうがいい。
対応ファイル形式
- PDF / JPG / PNG / EPUBの閲覧が可能。
- PDF / EPUB ファイルは、画像を読み込むことでその上に手書きメモが書けたり、トリミングで加工したり、読み返すための検索可能な目印をつけることも可能。
- MS Officeファイルの閲覧 / 編集も可能にしました。現時点では「Word」の閲覧 / 編集のみですが、今後のアップデートで他のOffice機能を実装してまいります。
とのこと。SUPERNOTEはアプデを頻繁に行っているようだ。自炊本の読書については下でもっと詳しく書きます。
外部ストレージ
無い。内蔵の32GBのみ。SDカードでも対応してくれたらいいんだけどね。
ついでに書くと電源ボタンと充電のUSB-C端子しかないです。ボリュームもない。そもそもスピーカー自体ないんじゃないかな。。
OSがAndroid
SUPERNOTEの新型のOSはAndroidがベース。だがBOOXと違ってGoogle Play Storeが使えるわけでもなく、特に恩恵は感じない。
ただ、KINDLEアプリが使えるのはAndroidベースだからだと思うので、その恩恵は大きいです(←私があまり恩恵を受けないだけ)。
願わくば、BOOXと同じ方向性(=汎用Androidタブレット)に向かってほしいと思う。Perfect Viewer使いたいです。。
自炊本の読書(読み込み)
JPGファイルの場合
- JPGファイル多数を入れたフォルダをZIP → 読み込めない(「サポートされていないファイル形式」とエラー)
- JPGファイル多数を入れたフォルダをZIPしたのをCBZ化(拡張子だけ名前変更) → 読める
- JPGファイル多数を入れたフォルダそのまま(非圧縮) → 読めるがサイズが小さいし、ページ送りができない
- JPGファイル多数を入れたフォルダをRAR → 読み込めない
- JPGファイル多数を入れたフォルダをRARしたのをCBZ化(拡張子だけ名前変更) → 読み込めない
- JPGファイル多数を入れたフォルダをRARしたのをCBR化(拡張子だけ名前変更) → 読み込めない
まともに使えたのはZIPをCBZに変換したもののみ。
RARには対応していないようだ。一度解凍してZIPで圧縮し直して拡張子の名前変更でCBZ化すればいい。なかなか面倒だが一度きりと考えれば許容範囲内と思う。いずれアプデで対応してくれることを期待する。
なお、マンガは右綴じで読みたいが、左綴じしかできなかった。これもアプデで対応してくれるのを期待。
SUPERNOTE A5Xの解像度は1404x1872。今回使用したJPGファイルは764x1200。CBZだとサイズを自動調整してくれたが、単体ファイルだと素のサイズのままのようだ。ピンチで拡大ができないので正直不便。投げ縄ツールで選択してから拡大はできるのだと思うが実用性は疑問。
PNGファイルの場合
- PNGファイル多数を入れたフォルダをZIP → 読み込めない(「サポートされていないファイル形式」とエラー)
- PNGファイル多数を入れたフォルダをZIPしたのをCBZ化(拡張子だけ名前変更) → 読める
- PNGファイル多数を入れたフォルダそのまま(非圧縮) → 読めるがサイズが小さいし、ページ送りができない
JPGと同じ。
GIFファイルの場合
- GIFファイル多数を入れたフォルダをZIP → 読み込めない(「サポートされていないファイル形式」とエラー)
- GIFファイル多数を入れたフォルダをZIPしたのをCBZ化(拡張子だけ名前変更) → なぜか読める
- GIFファイル多数を入れたフォルダそのまま(非圧縮) → 読み込めない(「サポートされていないファイル形式」とエラー)
GIFは非対応、と思いきや、CBZにしたらなぜか読めた。不思議。
PDFファイルの場合
- PDFファイル多数を入れたフォルダをZIP → 読み込めない(「サポートされていないファイル形式」とエラー)
- PDFファイル多数を入れたフォルダをZIPしたのをCBZ化(拡張子だけ名前変更) → 読めない(「このファイルは壊れています」とエラー)
- PDFファイル多数を入れたフォルダそのまま(非圧縮) → 読める
PDFは手元にあった航空券ファイルで試してみた。ページ送りも普通にできるので1つのファイルで複数ページになっているもの(論文とかなのかな)は相性が良いと思う。
自炊本ファイルのデータ移動
PCに繋いでDocumentフォルダにコピーでOK。デフォルトであるいくつかのフォルダはどれでもいいと思う(←後述)。
残念ながらアクセスできるフォルダは限られている。後述のKINDLEアプリが参照するフォルダ(.../Android/data/com.amazon.kindlefc/files/とか)にはアクセスできない。つまり自炊本をKINDLEアプリで読むのは難しい。
他、クラウド経由も可能(SUPERNOTEクラウド、DROPBOX)だが、私は使っていない。
自炊本(マンガ)の読書について感想
使い勝手に多少の難はあるものの、左綴じにはすぐ慣れたし、ページ遷移の遅延も気にならなくなったし、充分実用レベルと感じる。私は普通に使えると思うし今後も使う。
見開きページは残念ながら手持ちに見当たらなかったので未検証。
ページのジャンプ(200ページ目まで飛びたい、さっきの場面に戻りたい、など)は、全く対応していない。電子書籍リーダーで読んでいるのではなく、ただ表示する(そして手書きで書き込む)もので読んでいるだけ、という感覚ですね。
SUPERNOTEではなくBOOXを選んでおけば、Perfect Viewerなど外部アプリで読めるので不満はゼロになるはずです。SUPERNOTEは手書きの使用感が素晴らしいだけに、ここはちょっと残念なポイントですね。
遅延について
電子ペーパー(Eink)の宿命。
だが、Kindle Paperwhiteの倍?倍以上?とにかく速い。
手書きの文字は後から表示される感があるし、自炊本マンガを読むのもページ遷移に遅延はある。が、手書きの遅延は最初からあまり気にならなかったし、ページ遷移は2日目には気にならなくなっていた。
残像
そういえば全く見られないです。下から上になぞると再読み込みで残像を消すということだが、いまのところ必要性は感じない。
サードパーティのアプリ
今のところKindleのみ。
Google Playストアが使えるわけではなく、サードパーティアプリとしてKINDLEが最初からインストールできる状態になっていた。たぶん今後は種類が増えるのだと思う。個人的にはリーダー(ビューアー)としてPerfect Viewerが欲しい。読み込みの遅延は小さいし、ブラウザもあれば使えるレベルな気がしないでもない。
KINDLEアプリ
普通のAndroid端末と同じように普通に使える。
が、PCからKINDLEアプリの参照フォルダにアクセスできないので、自炊本ファイルをぶちこんでKINDLEアプリで読む、という技は使えない。非常に残念。Kindle Paperwhiteではできるんですけどね・・。
KINDLEパーソナル・ドキュメント
KINDLEはデータ転送としてメール添付という方法がある。しかし、
- 50MBまで(Gmailだと25MBまでしか添付できないので注意)
- ファイル数25まで(Zipファイルは圧縮前のファイル数)
と制限がキツく、マンガの自炊本ファイルに関しては実用的ではない。
ちなみにZIPの中にZIPを入れて送ってみたが対応形式じゃないと弾かれた。
イラスト
私は書かないのでわかりません。。
狙ったところに書けるか?という話なら、「慣れたら可能」と思うし、「それでもズレる時はある」とも思う。
レイヤーは機能としてあります。
私の使い方
参考までに私の使い方を書いておく。
SUPERNOTEでは右にあるセンサーを上から下になぞるとメニューが表示される(下から上だと再読み込みで残像が消える)。
上から「最近」「ドキュメント」「ノート」「抜粋」「ファイル」「メールボックス」「Amazon Kindle」「クイックアクセス」の8つ。
私は自炊本ファイルは「ドキュメント」に入れ、読む時はメニューからドキュメントにアクセス。読んでいたページを表示してくれる。
手書きノートは「ノート」。1つのファイルで複数ページが可能なので今のところ1つのファイルで全て済ませている。ファイルを分ける場合は「閉じてから別ファイルを開く」「メニュー→ファイル→ノートで別ファイルを開く」というやり方になると思う。
今は検証含めあちこち触っているが、「ドキュメントで読書(の続き)」「ノートで手書きメモ」の2つに集約されていくと思う。
総評
- 手書きについては現状で素晴らしい
- 遅延についても素晴らしく抑え込んでいる
- ペンも素晴らしい
- でも手書きノートの為だけなら高価すぎる
- ので電子書籍リーダーとしてもっと機能を充実させてほしい
要望(今後のアプデに期待)
- ZIPに対応
- RARに対応
- 右綴じに対応
- ページのジャンプ
- でも機能面を強化するよりもGoogle Playストアに対応してくれたらそれでいいかも
- KINDLEアプリの参照元フォルダにアクセスできるようになると嬉しい
最後に
「これできますか?」などあればコメントくださいましー。
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